今日、世界中の人々が、人を愛することの意味を教えてくれた一人の男の人生を讃えるために、ここに集まっています。

なぜそれほどまでに抑えきれない感情が沸くのか不思議に思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、マイケルが生き抜いた人生という旅路の中で私たちに何を伝えようとしていたのか知っていただきたいのです。今日ここにジャクソンファミリーとしてお集まりの御母様と御父様そして9人の兄弟は、インディアナ州ゲイリーの労働者階級から夢だけを糧に、ここまで登りつめてきました。

そのとてつもない夢が実現するなんて、当時の誰が予想し得たでしょう。
しかし、彼らは信じ続けました。そしてマイケルは世界が振り返るまでその夢を諦めなかったのです。

私がマイケルに初めて会ったのは1970年のイリノイ州シカゴのブラックエキスポです。
そこには今日までジャクソン・ファミリーを支え続けてきたジェシー・ジャクソン師もいました。そしてかわいい子どもだったその時から今日まで、マイケルは夢をあきらめなかったのです。

そしてその夢こそが、世界中の文化を変えたのです。
マイケルが音楽を始めた時は、今とは全く異なる世界でした。

しかしマイケルは自らに限界を作らず突き進み続け、人々にも限界を作らせなかったことで、全世界を切り拓いてゆきました。

音楽の世界では、片方だけに手袋をはめ、短めのズボンを履き、人種間のカーテンを破り捨てたことで、今では我々黒人アーティストのビデオが普通に放送され、雑誌の表紙を飾れるようになったのです。

まさにマイケル・ジャクソンその人こそが黒人と白人 と アジア人 と ラティーノ(ラテン系アメリカ人) をひとつにつないだのです

まさにマイケル・ジャクソンその人こそが、「We Are the World」で世界をひとつにし、ライブ・エイドよりはるか先に飢餓に苦しむ人に手を差し伸べたのです。

マイケルが踏み出し続けたことで、人種差別や偏見や阻害で悩む人たちに安心感を与え、彼の音楽とともにつながっていったのです。

そして、マイケルが産み出した安心感によって、日本やガーナ、フランス、アイオワそしてペンシルバニアの子供たちが、思う存分にお互いにふれあうことが出来るようになったのです。そしてオプラ・ウインフリーやタイガー・ウッズのゴルフをTVで見ても、何の違和感も持つことがなくなったのです。
マイケルを好きだった子供たちがティーンエイジャーから40代になり、アメリカに有色人種の大統領を誕生させるまでになったのです。

それは、マイケルがいてくれたからなのです。
マイケルがお互いに愛することの大切さを教え、お互いが尊重し合うことを教えたのです。

いろんなところに人を貶めようとする人がいます。しかし、世界中のみなさん、私たちは彼のメッセージを支持してゆきましょう。くだらない中傷など気にせず、愛にあふれた彼のメッセージこそを支持しようではありませんか。

険しい山を上っている途中には、ひざに傷を負う時もあるでしょう。時として深く傷ついてしまうことも、しかしそんな時こそ目を向けるべきは傷ではなく、マイケルが突き進んだ人生そのものなのです。

マイケルは奮い立ち、トップにまで上り詰めたことによって、歌うことで嘲笑う人を制し、ダンスをもって疑う人に立ち向かい、パフォーマンスをもって悲観する人たちを跳ね除けたのです。

彼は何度打ちのめされても立ち上がり、排除されようとする度に立ち上がりました。彼は立ち決して止まらなかった。決して立ち止まらなかった。決して立ち止まらなかったのです。

私は御母様と御父様に、兄弟姉妹の方にも申し上げたい。

私たちは愛することの何かを教えてくれ、希望を抱かせてくれ、私たちに夢を与えてくれたマイケルをこの世に生んでくださったことに感謝したいと思います。マイケルの夢はあなた方の夢でもあったのですから。

親族の皆様が計り知れない悲しみの底にあることをお察しいたします。アメリカ合衆国大統領とネルソン・マンデラ氏の手紙が少しばかりの癒しにはなるかもしれませんが、このことは、この事は子どもたちの身の上に起こったのですそして、兄弟の身に、いとこたちの身に。この悲しみは、何を持っても満たされることはないでしょう。

しかし、こうして人々が示す愛情の深さに、彼の人生の計り知れない大きさを感じていただければと思います。

私は三人の子どもたちに知っていただきたいです。お父さんは何もおかしなところはなかったのです。もし、おかしことがあるとしたら偏見の目を向けた社会の方です。しかしお父さんは恐れませんでした。お父さんは果敢に立ち向かったのです。我々のために立ち向かってくれたのです。

今日はここにお別れを言うために来た方もいらっしゃると思いますが、私はマイケルにありがとうと言いにきました。

ありがとう、マイケル、あなたは立ち止まらなかった
ありがとう、マイケル、あなたは決してあきらめなかった
ありがとう、マイケル、あなたは決しておじけづかなかった。
ありがとう、マイケル、あなたはあらゆる壁を壊してくれた
ありがとう、マイケル、あなたが境界線をなくしてくれた。
ありがとう、マイケル、あなたが希望を与えてくれた。
ありがとう、マイケル。
ありがとう、マイケル。
ありがとう、マイケル。

(2009年7月7日ロサンゼルス・ステープルズセンターで行われた追悼式でのアル・シャープトン師のスピーチ 翻訳:アースデイwithマイケル)